男の隠れ家 2018年 11月号 No.266

男の隠れ家 2018年 11月号 No.266 の詳細

「京都の隠れ家路地裏迷宮」という今月号の特集が雑誌名とリンクしていてとても秀逸でした。京都は戦災にほとんどあっていないこともあり、至る所に路地が存在しており、それが街の景観として観光客に喜ばれています。街並みとして独特の魅力を振りまくだけでなく、生活の大切な場として人々の営みとは不可分の存在です。路地で営業している割烹や居酒屋、BAR、カフェ、そして料亭。どのお店も雰囲気がありますし、少し入りにくさを感じさせます。それがまた路地に潜む名店の矜持のようにも感じました。「路地」は「ろーじ」と発音します。それからして京都らしさが漂います。「路地」に限らず、名詞を長母音で延ばす言い方は京都独特だと思います。路地裏を歩く魅力を語る上で大切なのは、自分の足で訪れ、その扉を自分で開けるからこそ楽しみと喜びがあると思っています。とはいえ、京都の路地裏の店の入りにくさは痛感していますので、本誌のようなしっかりとしたガイドブックは必須でしょう。一見さんお断りの店も存在しているわけですから。21pに地図が掲載してありますので、特集で掲載された店の場所は分かります。辰巳拓郎さんは本誌で「勇気を持って入ってみることだ。駄目だったら、次を探せば良い。失敗がまた、人生を豊かにする。(23p)」と語っていました。その通りです。京都の路地の魅力は、家と家が迫っている空間に異邦人(観光客だけでなく地元民も)である自分が踏み込んでよいのか、というある種の戸惑いと好奇心がないまぜになるからでしょう。行き止まりであれ、通り抜けであれ、未知の領域へ踏み込む時のドキドキ感は、子供から大人まで共通に持っている感覚です。この雑誌で掲載されているお店の魅力に魅入られ、それを追体験できるのもまた本誌の魅力につながっていると思います。